セキセイインコの発情や精巣腫瘍の問題について

セキセイインコの発情や精巣腫瘍の問題について、現時点で分かったことや自分なりの考察を書いておきます。
現在闘病中の方にとってはあまり役にたたない内容かも知れませんが、不安を抱えてもやもやしている方などは参考にしてください。
メスの発情に対する問題点などは、ネット上に多数既出ですので、ネットの情報および獣医師への相談で対処してください。(基本メスのほうが発情問題は重要ですが、対処方もほぼ確立されてます)
ということで、この記事はオスの発情に対しての記事となります。
医療に対する事も書いてますが、私は医療従事者ではありませんので、一般的に公開されている情報の私的解釈です。ご了承ください。

発情に対する対処法や考え方。それに伴う治療方針など、飼い主や獣医師によってもまちまちです。鳥個々の性質などによっても違いがあり、「これ」といった正解はありません。
飼い鳥の性質やあなた(飼い主)の考えを踏まえたうえで、どのような方法が適切か考えていくこととなります。
人が、原因のわからない病気になった時のように、鳥に対しても一つのことで結果を決め付けないようにしてください。獣医師やベテランの飼い主からのアドバイスに対しても、必ず自分で一度考えるということを忘れずにお願いします。
(考えてもわからないという場合は、聞く際「それのメリットとデメリットは?」などと、反対意見を同時に聞くと参考になると思います。)

治療法方など、後々状況が変わると思いますので、都度最新の情報も探してみて下さい。
(人の例ですが、「もう使用できる薬はない」と言われた人が、数年後に「今は新しい薬がありますので、希望でしたら言ってください」と方針転換された事例もあります。最新情報の取得は必須です。)

— 経緯(セキセイインコの発情・精巣腫瘍の問題について調べ始めた訳) —

うちのそらちゃんはオスで、一年中発情してます。
足の爪ちゃんとか髪の毛ちゃんとか、鏡ちゃん・Tパーチちゃん・枝ちゃん他、いろんな物を対象に発情してます。
ネットではオスの場合、発情→精巣腫瘍の原因と言われることが多いので、心配なので色々調べました。
ネットでも調べたし、セミナーやかかりつけの動物病院でも「発情→精巣腫瘍」のことについて聞きました。

— 以下調べたことや考察 —

ネットで主な内容
1)発情すると精巣腫瘍や他の病気を併発するので、なるべく発情させないように。(個人のブログではこれが一番多い。ほぼ断定型)
2)持続発情(慢性的な発情・過発情と言われる場合もある)の場合、そのう炎や精巣腫瘍が多く発生する。(先の内容より弱い表現)

ブログなどを見ると、獣医師は主に2)の立場を取ることが多いように思います。
うちのかかりつけの獣医師もこちらの見解でした。

現在分かっていること。
・発情による健康被害はメスのほうがオスとは比較にならないほど重大である。
・セキセイインコは他の鳥種より精巣腫瘍が多い。(かかりつけの獣医師に確認)
・発情が精巣腫瘍の原因とは特定されていない。(同上)
・精巣腫瘍の有効な対策・治療法が確定されていない。
・外科手術も非常にまれではあるが手術例がある。(鳥類臨床研究会会報に報告有)
・精巣腫瘍は人の場合早期なら根治率が9割を超えると言われている。非常に有効なプラチナ製剤というものがあるが、投与には血液検査が不可欠の為、総血液量の少ないセキセイインコには使えない。

かかりつけの病院でオスの発情について問い合わせたところ、
メスの場合はエサを少なくする・ストレスをあたえるなどの環境対策が有効だが、オスの場合はなかなか有効な手段が無い。
人と同じで、メスは現実的(子育てをしやすい環境かをまず考える)だが、オスは・・・ということです。
自分や回りの人(鳥ではなく人というところがミソ)と照らし合わせてみると、オスの発情対策は難しいということが分かると思います。
※はっきり言っちゃうとオスはとにかく発情する生き物ってこと。身もふたもないけど(^^;・・・
起きている時間や温度、えさの量・ストレスをあたえるなど、言われていることはたくさんあるが、オスに対しては「これ」といった決まり手がないそうです。

— 精巣腫瘍の原因が発情と断定されてない理由 —

セキセイインコは発情しやすい鳥種だが、他にも発情しやすい鳥種もいる。
そしてその鳥種に精巣腫瘍が多いかというと、そうとも限らないそうです。
その為「発情が精巣腫瘍の原因とは限らない」のではないか。
という考えのようです。
(他の発情しやすい鳥種でも精巣腫瘍が少なかったりする。つまり、セキセイインコ固有の問題ではないかと。)

人の場合、通常体外に出ている精巣が、体内に残っている停留精巣の場合、精巣腫瘍となる確率が高いそうです。
鳥は体内に精巣がある生き物なので、この条件からは精巣腫瘍になりやすい生き物です。
しかし、人でも人種や地域などで、精巣腫瘍となる率が10倍以上違う例があるらしい。
また、停留精巣でも、精巣腫瘍になりにくい動物もいるらしい。
この点からも精巣腫瘍の原因を発情と決めつけるのには無理が生じます。

— 治療について —
(明快な治療法はまだ無いが、将来への希望として)

セキセイインコなどの鳥類でも、人用の薬を処方されることがあるので、
プラチナ製剤(白金製剤)の有効性※ について聞いてみましたが、
現時点ではセキセイインコへの利用は不可能という回答でした。
なぜ不可能かというと、効き具合などを血液検査で確認しながらの処方となる為、血液検査に必要な血液量を取れないからです。
(毎週のように、インコから見たら「大量の血液」を採取ということは出来ない。)

※人の場合精巣腫瘍はプラチナ製剤(白金製剤)の処方で高い確率で根治できると言われてます。
インコに使えない現在の主な理由が「検査に要する必要な血液量が不足」ということですので、将来技術革新で検査に要する血液量が劇的に減った場合(mlという単位ではなく、一適くらいで可能とか)、治療に使える可能性は残されているかも。(鳥にも有効かどうかはまだ分からないが。)

また、外科手術の例も無いではないが、インコの体への負担を考えるとかなり無理があるのではないかと思います。
残りの寿命とQOLを考慮すると、この選択はどうかと思います。

あまり聞かない治療法ですが、人の癌では「凍結療法」というのもあるようです。これは癌細胞を凍結・解凍を2回行い、癌細胞を破壊させる療法です。
人では主に腎臓癌に対して行われていますが、これの応用は出来ないのだろうか?
獣医領域では犬の施術例が鳥取大学動物医療センターであります(この場合「胸腺腫」)
セキセイインコでは体温や大きさも全然違う為、応用できるか分かりません。

人間界での最新の治療では免疫療法というものが脚光を得ています。最近よく聞く「オプジーボ」がこれに当たります。
これも検査をしながらの投与となると思いますので、プラチナ製剤と同じく、現段階では使用不可能でしょう。
免疫反応の制御ですので、インコと人の免疫反応の違いなども判らなければ利用できません。

— まとめ —

・発情=すぐ病気ということにはならないが、病気の原因にはなりえるので、どれだけの変化があったか分かるようにする為、定期健診が必要。(重要)
具合が悪くなってから病院へ行ったのでは、通常時の状態がわからないため、その鳥の通常の状態からの変化ではなく、一般的な状態と比べることしか出来ないので正確な診断が出来ない可能性がある。できれば正常時のレントゲンなどのデータも取っておくべきかもしれない。(ただしレントゲンについては、機器による出力の違いや放射線の影響の度合いもあるので要確認です。)
健康診断も最低年2回、出来れば4回はかかりたいところ。
人よりも年をとるのが早く、換羽など季節の変化もあるため、時期によっても違う「正常値」をカルテに残しておくべきです。(複数年のデータがあれば、季節の変動があっても想定内かどうかの判断もできる。「毎年この時期はこんな感じですね~」とか。)
・医師の診断も、医師個人の考え方や持っている情報・スキルなどにより違いがあります。
疑問を感じたらセカンドオピニオンも有効です。
・ネットの情報も鵜呑みにしない。情報の一つととらえましょう。ネットの世界では転載なども多いので注意が必要です。「ネットにこう書いてあった」と動物病院でトラブルとなるケースもあるようです。
記事作成請負の職業もありますので、同様の内容が多いから多数の意見とは限りません。(同じ人が書いたものが多数のサイトにある可能性もあります。)

「まずは定期的に健康診断に行きましょう。」
というところでしょうか。

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